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No.2

[30]題名:CMF療法中なのですが 投稿者:MUGI 投稿日:2004/03/16(火) 11:36
[RES]

はじめまして。現在63才の母のことでお尋ねします。
2002年11月にてんりよろず相談所病院にて左乳房切除しました。病理の結果は悪性度2、ER(−)、PR(+)、リンパ節転移なしのステージ1というもので術後補助療法としてタモキシフェン5年服用になりました。
その翌年の10月に左わきのリンパ節にしこりが見つかり悪性とわかり感受性を見るため1個とりだしました。
結果、CMFを6クール受けているのですが、あと1クールのみになった今月12日に以前から感じていた脇のしこりを診てもらうと傷跡とも思えるが検査してまた考えましょうということだったそうです。もう終わりというところに来て大変ショックをうけています。治療中にしこりができるとはどういうことなのでしょうか。母は初期のがんで根治が可能と思っていたのですが、そうではないのでしょうか。まだはっきりと結果が出てないのにお聞きするべきではないとも思いましたが、とても不安に思っています。19日に最後の点滴に行きます。その時に主治医の先生に聞いておかなければならないことあれば教えていただきたいのです。今後、どのようになるのでしょうか。薬は効いていなかったのでしょうか。よろしくお願いいたします。
 

[32]題名:Re: CMF療法中なのですが 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/03/17(水)
13:32

MUGIさん、はじめまして。

お母さんのことは、さぞかしご心配のことと思います。
お母さんもたいへん不安を感じておられることとお察しいたします。
-
まず、初回手術後の補助療法については妥当だと思います。
問題は約1年後に左腋窩(えきか:わきの下のことを腋窩といいます)に
しこりが出現し、摘出したところ悪性だったということです。
そのしこりがどういうものか詳しくはわからないので、二つのことを想定して
考えてみます。
-
まず、そのしこりが局所再発の場合です。
局所再発とは、乳房切除後の手術した範囲の皮膚とか皮下に再発することです。
このような局所再発は、乳房切除後に数%(2〜3%ぐらい)の頻度で
起こるとされています。
手術では皮膚を薄く剥くわけですが、もしその薄い皮膚の中のリンパ管内に
がん細胞が潜んでいたりすると、それが分裂して数が増えてくると
しこりとして触れるようになります。
そうしたことが、早ければ半年から1年で起こったりします。
-
二つ目の可能性としては、腋窩リンパ節転移ということが考えられます。
この場合は、初回手術時にどのような腋窩リンパ節の郭清(腋窩リンパ節を
切除する手術のことを腋窩リンパ節郭清と言います。)がなされたかと
いうことが問題になります。
リンパ節転移なしということですから、リンパ節郭清は行われたわけです。
-
近年行われるようになったセンチネルリンパ節郭清(癌病巣から一番先に
がん細胞が流れつくと考えられている腋窩リンパ節のことを、
センチネルリンパ節といいます。)が行われた場合は、センチネルリンパ節は
切除されますがその他のリンパ節は腋窩に残っています。
センチネルリンパ節に転移がなければ、他のリンパ節にも転移がないと
考えられていますが、100%転移がないという保証はありません。
もし、残っていたリンパ節にわずかにがん細胞が潜んでいた場合、それが
1年後に触れるぐらいに大きくなることはあり得ることと考えられます。
-
次に、従来通りに腋窩リンパ節を全部切除するリンパ節郭清が行われた
場合ですが、当然主治医の先生は細心の注意を払って取り残しのないように
リンパ節を切除しているはずです。
しかしながら、目に見えないような小さなリンパ節が残っていて、もしそ
の中にがん細胞が潜んでいれば次第に大きくなってきて触れるように
なることもあり得ることです。
このようなことは、どこの施設で手術を受けても起こり得ることで、決して
手術に問題があったということではありません。
-
それでは、今回のようなしこりが出現した場合の治療について考えてみます。
局所再発でまず考えなければならないことは、他の部位に転移がないか
どうかということです。
つまり、肺・肝・骨といった遠隔臓器転移の可能性がないかどうかと
いうことです。
明らかに画像診断でわかるような転移が存在する場合は診断できますが、
そうでない場合に画像診断で何もないからといって遠隔転移の可能性は
否定できません。
この目に見えないものが1年後に画像診断で診断できるほど大きくなって
くるかもしれません。
そこで、全身療法である抗癌剤を用いた治療が一般的に行われます。
その場合、局所再発に対する効果も期待して行われます。
それが、今回行われているCMFです。
-
どのような化学療法でも100%有効というものはありません。
有効でなければ、治療の途中でも再発は進行してしまいます。
つまり、しこりの数が増えたり、大きくなったり、遠隔転移がはっきりして
きたりします。
この場合は別の治療法を検討することになります。
たとえば、別の抗癌剤を組み合わせた治療に変更したりします。
しかし、今回は他の遠隔臓器転移は確認されていませんから、CMFは予定通り
最後のクールを受けてもいいと思います。
つまり、目に見えない遠隔臓器内に潜んでいるかもしれないがん細胞には
CMFが有効かもしれないからです。
-
局所の腋窩は一度手術が行われた場所なので、血行が悪くて抗癌剤が十分
行き渡らずに効果がでなかったとも考えられます。
今回、腋窩にまたしこりが出現してきた可能性があるわけですが、そこに
対する治療としては薬物治療の他に、局所治療である手術で取り除くか、
同じく局所療法である放射線療法が考えられます。
当然、局所療法だけではだめで、薬物による全身療法を合わせて行う
必要があります。
-
今後についてですが、大切なことは化学療法と合わせて内分泌療法を
継続することと、定期的に遠隔転移の有無について検査を受けること、
問題がある時には適切な治療を速やかに受けることだと思います。
-
ステージTで早期だったのですが、残念ながら100%治癒ということには
なりません。
統計的には術後5年以内にお一人かお二人は再発することがわかっています。
現在の医療のレベルでは100%予後を予測することができません。
お母さんは、残念ながらこういう状態になってしまいましたが、希望を
捨てずきちんと治療を受けられることが大切だと思います。


[33]題名:ありがとうございました。 投稿者:MUGI 投稿日:2004/03/17(水)
19:54 [RES]

早速お返事いただきましてありがとうございます。折り返しお尋ねします。今回のしこりは放射線治療と手術とどのような違いがあるのでしょうか。選択する場合の基準となるものがあれば教えていただきたいのですが。それと、その後の化学療法についても先生は何を選択されますか。私としましては、できるだけ副作用の穏やかなものをと思うのですが、反面、すこしでも長く生きてもらいたいという思いも強いのです。
現実を受け入れるのはとてもつらいことです。
今後もよろしくお願いいたします。
 

[34]題名:Re: ありがとうございました。 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/03/18(木)
19:56

MUGIさんへ

 新たに出現したかもしれない腋窩のしこりに対する治療法としては、
いくつかの方法が考えられます。
まず、局所に対し手術とか放射線照射といった局所療法はせずに、
今まで行ってきたCMFと違う化学療法を行って経過をみる方法が一つです。
もしハーセプチンという新しいタイプの薬剤(CMFで使用する化学療法剤
とは違う薬理作用を持った、遺伝子の研究から作られた新しいタイプの
薬剤です。)の効果が期待できるのなら(ハーセプチンが有効か
どうかは、手術で切除した癌組織で調べることができます。)、
ハーセプチンと化学療法の併用療法もあります。
この場合は、ハーセプチンと相性のいい化学療法剤との併用ということに
なります。
-
次に、局所療法と全身療法を組み合わせて治療する方法です。
全身療法について、はじめに書いたことと同じです。
局所療法としては手術と放射線照射ということになりますが、どちらの
方法を選ぶかは主治医の好みという主観的な部分が入ってくるかも
しれません。
主治医の説明を聞き、納得できる方法で治療法を選ぶことになります。
もし、局所再発が限局的でしこりの境界がはっきりしているようなら、
手術的に一塊として切除することが有効かもしれません。
もし、境界がはっきりせず癌細胞がどこまで広がっているかはっきり
しない場合は、そこにメスを入れるのはむしろ危険なので放射線照射の
方がいいと思います。
手術的に切除した場合でも、完全に切除されていない可能性が残る時は
さらに放射線照射を加えることになります。
- 
 次に全身療法としての化学療法についてですが、現在行ってきたCMF以外
ということになります。
乳癌の治療に使われる化学療法剤の中でもっとも代表的な薬剤は、
アンスラサイクリン系と呼ばれるものです。
商品名でいうと、アドリアシンとかファルモルビシンなどで注射液にすると
赤い薬です。
たとえばCMF(CMFは多剤併用の化学療法で3種類の薬を用います。)の
Mをアドリアシン(A)やファルモルビシン(一般名をエピルビシンというので
Eと略します)に変えたCAFあるいはCEFと呼ばれる多剤併用の化学療法が
ありますが、CMFよりこちらの方が有効性が高いといわれています。
しかし、アンスラサイクリン系薬剤は副作用が強めで消化器症状が
強い傾向があります。
昔に比べれば化学療法の時に使用する専用の吐き気止めがあるし、
前投薬の工夫で吐き気を軽減することができます。
それでも4,5日はすっきりせず食欲が出ないかもしれません。
-
最近の薬剤ではタキサン系という化学療法剤があります。
この系統の薬が出る前は、アンスラサイクリン系で効果がないと
次の化学療法剤がないというお手上げ状態でしたが、このタキサン系は
アンスラサイクリン系と違う働きで癌細胞を殺すので、アンスラサイクリン系
で効果が期待できなくなった方にも使えます。
-
逆にタキサン系の効果が期待できなくなった時は、アンスラサイクリン系が
使えます。
タキサン系の化学療法剤の投与の仕方についてですが、最近の主流は
少ない量を毎週一回投与するやり方です。
普通は3週連続で週一回投与し4週目は休みとし、このやり方を繰り返し
行ないます。
この方法だと脱毛はありますが、吐き気といった消化器症状はあまりなく、
白血球減少も軽くすみます。
前に書いたハーセプチンも週一回投与を毎週連続で投与する薬ですが、
通常はこのタキサン系と併用されます。
ハーセプチンにも消化器症状のような副作用はほとんどありません。
(化学療法剤には副作用はつきもので、吐き気や脱毛以外にも
いろいろあります。特に白血球減少には注意が必要で、化学療法中は
慎重に経過を見なければなりません。今回はどのような化学療法を
選ぶかの目安として、自覚症状としてもっとも辛いと思われる
吐き気だけに焦点を絞っています。)
- 
 MUGIさんのお母さんの場合の化学療法としては、消化器症状の
少ないタキサン系の週一回投与がいいように思います。
できれば 内分泌療法を併用するのが良いと思います。
ただし、ここまで書いてきたことはあくまでも私の考えです。
内分泌療法をどのような形で併用するか、あるいはハーセプチンは
どうするかなど検討すべきことがいろいろあるので、主治医と
よく相談され納得のいく治療法を選んでください。
治療がうまくいくといいですね。
わからないことがあったら、また質問してください。


[35]題名:ありがとうございました 投稿者:MUGI 投稿日:2004/03/19(金)
20:52 [RES]

二瓶先生、何度も懇切丁寧なお返事をいただいてありがとうございました。今日、母と診察に行ってきました。今回のCMFは今日で終了したので、全身の検査を受けることになりました。主治医の先生は脇のしこりは大きくもなっていないし、やわらかくなってきているので、経過をみようとおっしゃっていました。とりあえず、全身の検査の結果が出てからということになりました。放射線の治療を考えておられるようでした。
何もわからず不安が募る一方でしたが、二瓶先生のHPにたどり着くことが出来て救われました。
この先ずっとこの不安を抱えていかなければならないわけですし、まだ結果が出てもいませんが、先生のおかげで先がぼんやりと見えたような気がします。
ありがとうございました。


[36]題名:ハーセプチンの再発前投与について 投稿者:hana 投稿日:2004/04/06(火)
12:37 [RES]

妻のことでおうかがいします。

38歳、閉経前、病期3B、リンパ節転移16/20、悪性度3(8/9)、HER2(2+)です。
ひじょうに厳しい状況で、予後の見通しも4期と変わらないような数字を言われています。
1月20日に右乳房全摘(非定型)手術。1月31日より化学療法CE-T開始。1回CEをおこなったところで放射線治療を優先し、3月26日まで週5回(グレイ数不明)。

4月よりCEに戻る予定です。

相談は「CE-Tのタキソール投与時にハーセプチンの再発前投与という選択肢はないでしょうか」というものです。
費用面ではある程度対応できると思っていますが、混合治療の問題や効果、海外事例など検討すべきポイントをお教えいただければ幸いです。
なお、患者本人はリンパ節転移が陽性というところまでは伝えていますが、転移の数や予後の見通しなどは伝えていません。

よろしくお願いします。
 

[37]題名:Re: ハーセプチンの再発前投与について 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/04/07(水)
20:39

はじめまして
-
病期VBで腋窩リンパ節の16個に転移が見られ予後は厳しいといえます。
私の経験からも、30代の乳癌は病期T、Uといえども思わぬ再発が
出現したりして閉経後の乳癌とは別に考えるべきと感じています。
-
 さて、ハーセプチンのことですが、適応は「HER2過剰発現が確認された
転移性乳癌」ということになっています。
したがってhanaさんの奥さんの場合は保険上の適応からはずれ
術後補助療法としては使用できません。
現在、補助療法としてCE-Tが施行されていますが、今最も大切なことは
このCE-Tを予定通り受けることだと思います。
CE-Tは補助療法の中でも副作用が強めで辛い治療かもしれませんが、
予定の薬物量で予定の回数を完遂することが重要です。
-
CE-Tにハーセプチンを併用した場合の効果ですが、さらなる再発率の
減少はわずかだと考えます。
しかもHER2(2+)ということで、HER2(3+)の場合ほどハーセプチンの効果は
出ないかもしれません。
-
副作用の面からみるとハーセプチンには心毒性の問題があり、同じく
心毒性のあるアンスラサイクリン系の抗癌剤との併用は、心毒性の
増強につながるので併用はすすめられていません。
再発乳癌で心毒性の増強よりも治療効果が高いと予測される時は併用される
こともありますが、通常はアンスラサイクリン系との併用はしません。
-
hanaさんの奥さんが受けておられるCE-TのEはアンスラサイクリン系の
Epirubicinだと思いますので、ハーセプチンを併用すると心毒性が問題に
なってくるかもしれません。
術後補助療法の場合は、命に関わる重大な副作用が予測される場合は
すべきでないと思います。
-
再発治療は治療効果を見ながら副作用等で継続不可能か、増悪傾向が出現して
くるまでは継続して行いますが、術後補助療法は予定の治療が終了後は
何もしないか経口抗癌剤等で様子を見ることになります。
再発でハーセプチンを用いるときは、効果が持続している限り週一回で
エンドレスに投与を続けることになります。
ハーセプチンは術後補助療法のように効果を評価する病変が無く期間を
限定するような用い方には適さないと考えます。
ハーセプチンは今後何か起こったときの治療のためにとっておかれたら
いいと思います。
-
 リンパ節にいっぱい転移があるからといって、必ず再発するわけでは
ありません。
統計的な数字ではきびしい状況ということになりますが、きちんと治療を
受けることによって何事も起こらず治癒することだってあり得るわけです。
今後は、定期的な検査もしっかり受け、万が一何事か起こったときは
速やかに治療を受けることが肝腎だと思います。
-
 hanaさんは何ほどかご心配のことと思いますが、奥さんにとって
hanaさんの支えが一番の薬だと思います。
-
最後に、少しお聞きしたいことがあります。宜しければ質問箱に
書き込んでください。
-
病期VBということですが、しこりの大きさはどのくらいだったのでしょうか。
ホルモンレセプターはどうだったでしょうか。
エストロゲンレセプターとプロゲステロンレセプターというのがあり、
手術時に調べていると思います。
それから、放射線治療はどこの部位にかけたのでしょうか。
よろしければ教えてください。


[38]題名:今後の治療について教えてください 投稿者:こっこ 投稿日:2004/04/08(木)
13:50 [RES]

初めてメールさせていただきます。
いつも野水先生の質問箱に、メールさせていただいているこっこ(53歳・女・富山県在住)と申します。野水先生のご都合がお悪いとのことで、こちらの方へメールするように・・とありましたのでお忙しい所申し訳ないのですがよろしくお願いいたします。
昨日、主治医の方から電話をいただき、来週早々CTを撮り治療方針を決める事になりました。
2000年6月 温存手術 放射線治療 タモを飲んでいました。ホルモンは両方+・HER2 3+・v0・ly0でした。
2002年12月 CEA上がり始める。CTの結果、肝臓に影有りといわれる。
2003年2月 まだ生理があったためゾラをはじめる。
2003年7月 野水先生の助言をいただき、主治医と相談の結果アリミデックスに変更していただいたところCEAの値が除々に下がりはじめ11月には5.4までさがりました。 しかし12月より再び上がり始め、今年の3月には19、4月には22.8と上昇傾向を示したため、昨日主治医より連絡をいただきどうも転移を疑われるのでCTの結果をみて、新しいホルモン剤をはじめるか、ハーセプチンをはじめよう・・といわれました。(CTの結果なのですが、他の病院で受けた造影剤のCTでは血管腫といわれています。)
CA15-3はずっと変わらず、むしろ下降傾向にあり現在7.6に下がりました。その他のマーカーは検査していません。
以下は2003年に受けた検査です。
2月 大腸内視鏡検査。ポリープが見つかり切除していただきました。結果癌になりやすいタイプだけれど良性でした。
10月 胃カメラ 異常なし
MRI 昨年と同様の肝臓の海綿状血管腫といわれました。
11月 骨シンチ 異常なし
12月 子宮検診 異常なし
次に質問なのですが
1. CEAの値が再び上昇し始めたのはアリミデックスの効き目がなくなったからでしょうか。こんなに早く薬の耐性ができるものなのでしょううか?
2. ハーセプチンの治療は、早くはじめたほうがいいのでしょうか?別のホルモン剤の効き目を試す時間はないのでしょうか?
3. もし、CEAではっきりとした結果が出ない場合、他にどのような検査が必要でしょうか?
4. 私はQOLを第一に考えたくて抗がん剤の使用はしたくないと思っているのですが、抗がん剤を受けた場合と受けなかった場合の生存期間はどれ位差があるものなのでしょうか?個人差が有り大変難しい質問だとはおもうのですが、 もし何か統計の様なものがありましたらお教えください。
CTの日にちが押し迫っているためあわただしい質問になってしまいましたが、お返事いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

[39]題名:Re: 今後の治療について教えてください 投稿者:こっこ 投稿日:2004/04/08(木)
13:55

すみません。質問3のCEAはCTの誤りでした。


[40]題名:ハーセプチンの再発前投与の件 投稿者:hana 投稿日:2004/04/08(木)
20:48 [RES]

さっそくのご丁寧なご回答、ほんとうにありがとうございます。
お忙しい中、迅速にご回答いただいたのに返事が遅れまして申し訳ありませんでした。


ご質問のしこりの大きさは正確に確認しておりませんが、手術前の話から3〜4センチだったのではないかと思っております。
また、ホルモンは陰性でしたのでホルモン療法はしておりません。
放射線は切除した右胸とその上の鎖骨、さらに首のあたりにも照射しているようです。


ご回答につきましてはひじょうにわかりやすいご説明でした。
Eはエピルビシンです。
シロフォスファミドとエピルビシンを4クール、その後、タキソールを6クールの予定だったと思います。

ハーセプチンの再発前投与についてお尋ねしたのは、「アメリカで乳がんと生きる」という本の中で以下のような記述があったためです。

「私がとりよせたジェネンテクによる臨床実験データによれば、ハーセプチンはタキソール系抗がん剤と併用した場合にもっとも著しい効果をあげ、約40%の転移の広がった末期乳がん患者に腫瘍増殖の一時的停止、患部縮小あるいは完全消滅などの効果がみられ、平均延命期間は9ヶ月に上った」

また、別の情報で海外ではハーセプチンの再発前投与もかなりおこなわれていると聞きました。

以上の点から、今後CEが終了しタキソールに移行した時にハーセプチンとの併用ができないものかと思ったわけです。

たしかに再発前では効果がまったく確認できないのは問題ではあります。
なにより、副作用を受けるのは私ではなく患者本人ですから、こちらだけであれこれ考えてもいけないのでしょうが。

上記の内容を踏まえて、さらにお答えいただけるものがありましたらぜひお願いいたします。
 

[41]題名:Re: ハーセプチンの再発前投与の件 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/04/10(土)
01:17

少し追加させていただきます。
前回は保険の枠内でのお答えをしました。
今回はhanaさんのお気持ちも考えて少し逸脱します。
 -
ホルモンレセプターが両方とも陰性であることも、hanaさんの奥さんの
癌細胞の悪性度が高いことを示しています。
放射線照射は鎖骨上リンパ節領域を含め、局所はきちんと抑えようと
いうことだと思います。
-
私たち現場で医療を行う者には、今EBM(evidence based medicine)の
実践が求められています。
有用性が証明された治療をしなさいということです。
ある治療法が考案された時に、その治療が従来の治療法に比べ優れているか
どうか調べるために臨床治験が行われます。
その結果有用性が科学的に証明された治療を行うことになっています。
-
術後補助療法としてACとAC-Tの比較試験はアメリカで行われ(この場合は
A:アドリアマイシンが使われていますが、Eと同じアンスラサイクリン系です)
、AC後にタキソールを投与した群の方がAC群より無病生存率や生存率が
統計的有意差をもって改善されることが証明されています。
特にホルモンレセプター陰性の場合に効果が大きいようです。
ACはアメリカで好んで用いられる術後補助療法のレジメンですが、最近は
AC-Tが主流になっていると思います。
ACの代わりにECでもほぼ同じ効果だと思います。
-
日本では欧米に比べ臨床治験を行うことが難しいため、欧米での治験で良いと
される治療法をそのまま追試なしに行ったりします。
最近AC-TまたはEC-Tは日本でもけっこう行われていると思いますが、特に
リンパ節転移10個以上の場合にはこの術後補助療法が最もいいかもしれません。
-
ハーセプチンはタキソテールと相性が良く相乗効果が期待できます。
ただし、今のところ日本では再発乳癌にしか適応がありません。
保険適応薬との併用でハーセプチンを自費で用いた場合は、混合診療の問題が
出てきます。
再発乳癌の治療でタキソテールとハーセプチンを併用したときの効果は、
hanaさんが書かれたとおりです。
-
補助療法としてハーセプチンを用いる臨床治験はアメリカあたりで
行われていますが、臨床的に有用性があるかどうかの結論が出るのは
まだまだ先のことだと思います。
有用性が証明されれば実際の医療で術後補助療法としてハーセプチンが
使われることになります。
-
hanaさんの奥さんの予後が厳しいことは確かです。
-
タキソテールとハーセプチン併用の有用性は再発治療で証明されているので、
術後補助療法としても有用であることは容易に想像できます。
hanaさんに熱意があり悔いを残したくないという気持ちが強ければ、
ハーセプチン併用もすべきだと思います。
-
術後補助療法の目的は全身のどこかに潜んでいるであろう癌細胞を
たたくことにあります。
乳癌はある時点から乳房という局所を飛び出し、血管やリンパ管を通して
全身に広がる全身病です。
手術はあくまでも局所療法で、全身に散らばっている癌細胞は残ります。
-
再発はある日突然起こるのではなく、この全身に散らばっている癌細胞が分裂を
繰り返し画像診断で捕らえることができるようになった時点で
再発と診断されるのです。
ですから、潜んでいる癌細胞が分裂を繰り返し増殖する前の少数のうちに最大限の
武器で完全に殲滅できれば、再発は防げることになります。
-
完全は難しいかもしれませんが、ハーセプチンの併用は完全に近づくことを
助けてくれるかもしれません。
副作用で心毒性のことを書きましたが、調べてみてさほど神経質になる必要は
ないようです。
-
ハーセプチンを使用中は定期的に心エコーとかで心機能を評価することに
なりますが、問題が生じたとき最善の処置をすればいいと思います。
-
問題点は経済的なことと混合診療のことになります。
混合診療の問題については主治医とよく相談してください。
主治医は受け入れてくれないかもしれないし、うまい方法を考えてくれるかも
しれません。
最初の答えの時に書いたようなことをおっしゃるかもしれません。
-
経済的には保険が適応にならないと相当たいへんだと思いますが、奥さんへの
思いやりのお気持ちが強ければ、私などが口に出す問題でないのかも
しれませんね。
-
今回は、他の先生から見れば間違っていると思われるかもしれないような
ことを書きました。
人生は一度きりです。
-

いろいろな問題がクリアでき状況が許すなら、奥さんに最善のことを
してあげてください。


[42]題名:Re: 今後の治療について教えてください 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/04/10(土)
01:39

こっこさん、はじめまして。
野水先生の代役としては役不足ですが、私なりの考えを書いてみます。

CEAの上昇は体の中に何か問題が生じていることを客観的に表していると
考えられます。
NCC-ST-439という腫瘍マーカーは時に病気と関係なく上昇することが
ありますが、CA15-3やCEAの上昇は体の中に癌細胞が増殖していることを
示していると考えられます。
-
ある薬がどのくらいの期間有効であるかは個人差があり何とも
いえませんが、CEAの上昇が癌細胞に由来するのであればアリミデックスは
有効でなくなったと考えるのが妥当だと思います。
腫瘍マーカーはいろいろありますが、必ずしもすべてが上昇するわけでは
ありません。
-
こっこさんの場合はCEAが上昇しているので、病気の状態や薬の効果判定は
CEAで判断できるということになります。
-
現在もゾラデックスは併用されているのでしょうか。
ホルモン療法の仕方の原則は、あるホルモン療法剤が無効になった時点で
次のホルモン療法剤に切り替えることですが、これまで抗エストロゲン剤の
タモキシフェン次にアロマターゼインヒビターのアリミデックスと服用して
きたので 、以前なら抗プロゲステロン剤のMPAという順番になります。
MPAはまだ使う時期ではないと思います。
-
MPA前に新しいアロマターゼインヒビターのアロマシンという薬が
ありますので、試してみる価値があります。
これはアリミデックスと少し違う方法で作用するので効果があるかも
しれません。
それから、抗エストロゲン剤のフェアストンという薬があります。
通常は一日40mgを服用しますが、再発の場合は120mgという高容量の投与が
認められています。
これも試す価値はあると思います。
 -
ホルモン療法剤を切り替えてみてもCEAが上昇してくるのであれば
化学療法をすべきだと考えますが、いわゆる抗癌剤を用いる前に
ハーセプチンの単独投与で様子を見てもいいと思います。
ハーセプチンには抗癌剤のような副作用は少なく、QOLはある程度保てると
思います。
CEAが下降してくればハーセプチンが効いたと判定できます。
-
通常は相乗効果の期待できるタキサン系の抗癌剤と併用されるのですが、
私のところにもハーセプチン単独でも有効だった 方がいらっしゃいます。
-
CT検査は万能ではありません。
頸部や縦隔内(心臓の周辺あたり)のリンパ節転移や、臓器転移でも
小さいうちは捕らえることができない場合があります。
内視鏡検査や骨シンチ等で異常が見つかっていませんが、これらの検査も
万能ではありません。
-
骨シンチで異常は認められなかったのに、MRIで小さな骨転移が見つかる
こともあります。
全身には異常がなくても、脳のMRIやCTで脳転移が見つかることもあります。
-
今書いたようなことを一回の検査で調べる方法としてPET検査があります。
一回の検査で骨や臓器といった場所に関係なく、全身のどこかに再発部位が
あればかなりの確率で見つけ出してくれるかもしれません。
-
PETにも弱点はあるので100%とはいえませんが、従来の方法に比べれば
見つかるかもしれません。
ただPETはまだ普及していないのでお住まいの近くにあるかどうかは
わかりませんが、どうしても再発病巣が不明の時は少々高いですが受ける
価値はあると思います。
-
再発の場合で、抗癌剤の治療を受けなかった場合と受けた場合の
生存期間の違いに関する検討は無いと思います。
倫理的に再発した方に全く治療をしない選択肢のある臨床治験はできないと
思います。
術後補助療法としての治験では、化学療法を受けた群は化学療法のない群に
比べ無病生存率や生存率が統計的有意差をもって改善することは
証明されているので、再発でも化学療法を受ければ生存期間の延長は
十分に期待できます。
必要な時は受けるべきだと思います。
-
化学療法の効果は腫瘍量が少ないほど期待できますから、ホルモン療法や
ハーセプチン単独で効果がないときは速やかに始めるべきです。
タキソールとハーセプチンの併用は脱毛を除けば副作用は軽く、治療を
続けながらお仕事をされている方もおられます。
-
ぜひ、期を逸することなく必要な治療を受けてください。


[43]題名:無題 投稿者:こっこ 投稿日:2004/04/10(土) 10:15 [RES]

さっそくのお返事ありがとうございました。
今通っているクリニックにはCTしかありませんので、他の検査はすべて近くの病院で受けました。造影剤を使用してのMRIの結果は主治医には伝えましたが、完全には肝の転移を否定できないと言われています。
PETの検査は、主治医の了解のうえで申し込むように言われ、相談したのですが私にはあまり意味のない検査だと言われ断念しました。もう一度主治医に相談してみたほうがいいでしょうか?
MRIの検査もぜひ受けたいと思っています。今までは肝臓のみでしたが、全身を検査できるならそれにこしたことはありません。
ゾラはまだ続けています。体調に変化のないうちに(がん細胞がのさばりださないうちに)できるだけの手を打ちたいと思います。
CTの結果が出ましたら、もう一度ご相談させてください。
今は毎日を明るく、楽しく過ごしていこうと思っています。
本当にありがとうございました。
 

[44]題名:Re:こっこさんへ 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/04/10(土) 20:30

必要以上の検査ごとは必要ないといえばその通りだと思います。
明らかにどこかに再発病巣があるとして、それに対して治療をすることには
変わりないので部位がどこであろうと問題でないと考えるのであれば、
検査の必要はないかもしれません。
でも、もしこっこさんが再発部位がどこなのかどうしても知っておきたいと考え、
他の検査法でどうしても確定診断が得られなければPETが役に立つと思い
お答えの中に書きました。
- 
それから、こっこさんの年齢からしてゾラデックスはもはや有効でないかも
しれません。
閉経が遅い方もいるので一概にはいえないのですが、おそらく血中の
ホルモン値からしてもゾラデックスは中止して良い状態であることが
予想されます。
主治医と相談してみてください。
-
CTの結果が出たら教えてください。
その時私にアドバイスできることがあれば、また書かせていただきます。


[45]題名:骨転移の疑惑について 投稿者:たま 投稿日:2004/04/11(日) 18:29
[RES]

はじめまして。
色々なHPを見て回って、こちらに巡り会いました。
母方がガン家系で、祖母の卵巣がんをはじめ、胃がん、乳がん、前立腺がんなど、ただし両親はガンに罹患していません。
39歳、1年前に2センチ弱の右側乳がんを温存手術しました。
硬がん、リンパ節転移0/10、ホルモン両方プラス、悪性度3、HER2マイナスのステージTでした。
脂肪浸潤あり、リンパ管浸潤、血管浸潤はわずかにありとのことでした。
術後は放射線治療25回、リュープリン注射、ノルバデックスの服用を続けてきましたが、
更年期障害(頭重感、倦怠感など)が気になってきたので、半年前からノルバデックスの服用をストップしていました。

今年の2月頃より、腰と背中にかすかな痛みが出現するようになりました。
痛みは消えずに、少しずつ増してくるような感じだったので、
怖くなってノルバデックスの服用を2月から再開し、
2月末の診察時に、主治医に相談すると、服用薬がアリミデックスに変更となりました。

腰椎レントゲン、腰椎MRI検査、血液検査、骨シンチ、胸部CT、腹部超音波検査とひととおりの検査を受けましたが、
どれも異常なしとの結果で、しばらくは安心していました。
また、3月末の診察時に主治医にお願いして、フォサマックの処方をして頂き、
現在はリュープリン注射とアリミデックス、フォサマックの服用を続けております。
腰の痛みはほとんどなくなり、背中の痛みも3月よりは軽減してきたのですが、
まだ完全にはなくならず、夕方〜夜にかけて背中を中心に首や肩甲骨の辺りの痛みが増し、
特に、背中は2月からずっと同じ箇所の痛みが続いているので、
もしかしたら骨転移のごく初期段階なのではないかと、
(検査結果には出ない程度の)
また毎日不安な気持ちで憂鬱になっております。

主治医は、各種の検査で異常が見当たらなかったので、
骨転移の可能性はないとの見解でしたが、
毎日背中の痛みを抱える本人としては、どうしても腑に落ちないイヤな予感があります。

(痛み止めを飲むほどの強い痛みではなく、筋肉痛程度の鈍い痛みではありますが・・)

イヤな予感を感じる原因として、
胸のしこりが乳がんであると判明するまでに、
その1年以上前に、乳がんの疑いで検査を受け、細胞診や針生検でしこりに何度も針を刺し、その時の検査結果は良性であったのですが、
それから1年後の針生検でガンであることが判明したので、
乳がんが判明するまでの1年間の間に、針を何度も刺した部分が刺激を受けて、
わずかなガン細胞が血行転移を起こしてしまったのではないかという恐れが自分の意識の中にあるのです。

そこで、今迷っていることがあります。
このままホルモン剤とフォサマックの服用を続けながら様子を見ていくのが良いのか、

それとも、思い切って抗がん剤を受けてみてはどうかという思いで揺れています。
抗がん剤のことを主治医に相談すると、「まだ転移かどうかもわからない状態で抗がん剤なんてとんでもない」と否定されてしまいました。
また、別の病院でも相談してみたところ、やはり「転移かどうかもわからないのに抗がん剤はできません」とのことで、
またそちらでは「もし骨転移であったとしたらですが、初期のうちに抗がん剤を打ったとしても完治は望めませんよ」との返答もありました。
そう言われてみると、確かにそうなのかもしれませんが、
患者当人の立場からすれば、「もしかしたら、ごく初期の段階で抗がん剤などの手を打っておけば、完治も望めるのではないか」というかすかな希望的観測もあるのです。
実際のところ、術後補助療法としての抗がん剤投与では、
術後10年間の無再発生存率が14%程度アップしているとの報告もあるそうですし、

私は術後に抗がん剤を受けていないので、今から始めてもいいのではないかという思いもあります。
ただ、やはり一番の心配は、抗がん剤投与による各種の副作用と免疫力の低下で、
かえって身体がボロボロになるのではないかという恐れもあり、
迷いに迷っております。

ソレイユ会長の中村道子さんのように、術後の骨転移部位の放射線照射と卵巣照射ホルモン療法のみで20数年間も再発なしでお元気に過ごされてきた例も拝見しましたら、
私もこのままホルモン療法だけで様子を見ていくほうが良いのではないかとも思いますが、まだ迷いに迷っています。

文章が大変長くなり、大変申し訳ないのですが、二瓶先生ならば、私のようなケースはどのようにすればベストだと思われますでしょうか?
最近雑誌で知ったのですが、金沢大学のほうでカフェイン併用化学療法が骨肉腫を中心に画期的な成果を上げていて、
昨年、高度先進医療として認められたそうですが、
乳がんにも期待できるとのことで、
先生はカフェイン併用化学療法についてはどのように思われますでしょうか?

いきなり色々とぶしつけな質問をお許しください。
このような相談の場があることを心から嬉しく思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

 
[46]題名:Re: 骨転移の疑惑について 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/04/13(火)
12:13

たまさん、はじめまして

手術の結果T期でリンパ節転移なしで良好な予後が期待できるとしても、
乳癌は骨転移を起こしやすい癌である以上、いろいろ検査をして異常が
ないといわれても心配ですね。
-
骨転移は骨髄に転移した癌細胞が骨皮質に浸潤した状態です。
癌細胞が破骨細胞を刺激して骨組織破壊が進行すると痛みという症状が
出てきます。
骨破壊が進めば骨シンチやCT、MRI、単純X-Pといった検査を駆使すれば
おおよそ診断ができると思います。
-
たまさんの痛む場所は骨転移の好発部位と重なるので、骨転移の可能性は
完全に否定はできません。
しかし、たまさんの受けられたいろいろな検査で骨転移の兆候が
見つからなかったとすれば、仮に骨転移があるとしても初期段階で
骨組織の破壊は軽微で痛みを伴うこと少ないのではないかと思います。
-
 たまさんの病理組織診断をわれわれ医者が術後の補助療法を
決めるとき最も参考にするSt.Gallen(スイスのザンクトガレンという町に
世界の著名な乳癌の学者が集まって治療方針のガイドラインを作ります)
のガイドラインのリスク分類に当てはめると、悪性度3なので
Average/high risk(少し再発の危険性の高い群)ということになります。
この時の術後補助療法はホルモンレセプターが両方陽性でリンパ節転移
なしなので、リュープリンとノルバデックスの併用が適切な
術後補助療法の一つとされています。
その他に化学療法とノルバデックスの併用などもすすめられていますが、
たまさんの場合は悪性度3以外はすべて低リスクに入るので、
術後補助療法としてリュープリンとノルバデックスは
妥当な選択だと思います。
-
リュープリンは卵巣機能をほぼ完全に抑制し、卵巣摘出やソレイユの
中村さんが受けれれた卵巣照射と同じ効果を発揮します。
卵巣機能が抑制されることによって、体は人工的に閉経状態と同じに
なります。
ご存じのように閉経になると次第に骨塩量が減少し骨粗鬆症になりやすく
なります。
骨粗鬆症の症状は痛みや病的骨折です。
-
ノルバデックスにはエストロゲン用の作用が少しあり、骨塩量の低下を
防ぎ骨粗鬆症の発生率を下げるという良い面もあります。
たまさんの場合は副作用として更年期症状が強く出たためノルバデックスを
中止しリュウプリンだけの投与を受けていましたから、骨塩量の低下が
進み腰部や背部の痛みを引き起こした可能性があると考えられます。
2月末にアリミデックスに変更になりましたが、アリミデックスは
ノルバデックスのようなエストロゲン作用はなくリュープリンとの併用で
完全に体内のエストロゲン作用を抑えることになるので、ノルバデックス
との併用時より骨塩量を低下させることになります。
このため骨粗鬆症様の痛みが強くなる可能性があったわけですが、
骨粗鬆症のお薬であるフォサマックが有効で痛みが軽減したとも
考えられます。
-
骨転移の痛みに対してはこれまで放射線照射が主に行われてきましたが、
最近はビスフォスフォネート剤が用いられ照射と同等の効果があると
報告されています。
通常は注射剤のビスフォスフォネートが用いられ点滴静注されます。
フォサマックも経口のビスフォスフォネートで骨粗鬆症の治療などに
用いられますが、骨転移による痛みに対してはさほど期待できません。
フォサマックが痛みを軽減したとすれば、やはり骨粗鬆症的な
原因の痛みなのかなと思います。
-
通常の考え方では、今のところ明らかに骨転移と診断されていないので、
この時点で化学療法を行う必要性は無いといえます。
骨転移に関わらず遠隔転移が確認された時点で化学療法を開始するのが
通常の治療法です。
ただし、もし腫瘍マーカーが上昇してきてどこかに転移が出現している
可能性が高いのに検査で転移巣がはっきりしない場合は、化学療法を
行って腫瘍マーカーの下降で効果判定をすることもあります。
-
乳癌と診断されるまで1年ぐらいかかり、その間何度か細胞診や
針生検の検査を受けたことが血行性転移の元になるのではないかという
心配ですが、その影響は少ないと思います。
浸潤性の乳癌は大きさ1cmぐらいで全身病になっていると考えられ、
その時点で癌細胞は周囲の静脈やリンパ管の中に入り込み全身に
運ばれていると考えられています。
大方の癌細胞は体の持っている免疫力などで死滅しますが、骨や肺、
肝などに生き残った癌細胞が増殖して画像診断でとらえれれた時に
転移と診断されることになります。乳癌が100%局所の病気であれば
手術だけで治癒しますが、乳癌はある時点から全身病である以上
再発は避けて通れません。
再発率を少しでも少なくしようとするのが術後補助療法です。
-
-
ここから通常の考え方でないことを書きます。
明らかに骨転移と診断されてから様々な治療法を組み合わせて行っても、
すべての癌細胞を殺すことは無理と考えられています。
ソレイユの中村さんのように、骨転移部への照射と内分泌療法で
長期に渡り再燃がみられない方もおられます。
-
最近行われることが多くなった術前化学療法で、完全に癌細胞が
消えてしまう病理学的完全寛解率が10から30%あるという報告も
見られます。
最近の術後補助療法の考え方は、術後体のどこかに潜んでいるであろう
癌細胞を少ない数のうちにたたいてしまおうということです。
-
たまさんの場合術後補助療法として化学療法はされていないので、
化学療法をすればその効果が期待できます。
たまさんがお考えのように、再発の極初期段階で癌細胞が少ないうちに
しっかり化学療法をすれば完治する可能性は否定できません。
そうすることが、精神衛生的にも良いのであれば化学療法を受けるのも
あながち間違いとはいえません。
ただし、化学療法をしたからといって100%再発を防げないことを
承知し、化学療法には副作用があることを十分に理解し納得できたらの
話です。
主治医の説得も必要になります。
-
カフェイン併用の化学療法が骨肉腫で良い成績を納めているようですが、
将来いろいろな化学療法に応用されるかもしれません。
しかし、今のところは研究段階で一般的な治療になってはいません。
カフェインを大量に服用するようですし、それによる副作用のことも
あり厳重な観察が必要のようです。
この効果が化学的に証明され、将来一般化すれば良いなと思います。 
-
いろいろ書いてきましたが、もしたまさんが私の患者さんなら、
ホルモン療法でもう少し様子をみます。
ただし、骨転移が完全に否定できない以上半年ごとに骨シンチやCT、
MRI検査をして注意深く経過を観察し、骨転移に限らず再発が明らかに
なった時点で化学療法を開始します。
-
参考になりましたか。
あるいは、ますます迷いを強くしてしまうかもしれませんね。
心配ばかりすると、体の免疫力の低下を招き良いことはありません。
疑問があったら、また質問してください。


[47]題名:ありがとうございました。 投稿者:たま 投稿日:2004/04/13(火) 23:18
[RES]

二瓶先生、とても丁寧なわかりやすいお返事をありがとうございました!
先生のご説明のおかげで、迷いが少し吹っ切れたような気がします。
主治医からも「MRIでもわからないような初期の骨転移は、まず痛みません」と説明されて、
その時は「あっ、そうなんだ・・・」と心底ホッとした覚えがあったのですが、
背中はMRI検査をしてないうえに(今回は腰だけ)、
その後も背中の痛みが毎日続いたので、ついつい不安が先走るようになってしまっていました。
「痛み」というのは、本当に不安や憂鬱を引き起こすものなんですね・・・。
今回、身にしみて痛みの辛さがわかりました。
骨塩量の検査はまだ受けていないので、痛みの原因が骨粗鬆症から来るものなのかどうかは、はっきりとはわかりませんが、二瓶先生の説得力のあるご説明を読ませていただいて、
今までの不安感と憂鬱感がスーッと晴れていくような気持ちになりました。
先生のおっしゃる通りに、このままホルモン療法のみで様子をみていくことに致します。

各種の検査結果がせっかく良好であるのに、疑心暗鬼になってしまってはもったいないですよね。
何よりも、免疫力を落とさないように、前向きで楽天的でいるのが一番ですね!
カフェイン併用科学療法についてのご説明もありがとうございました。
勉強になりました。
近い将来、こういった治療法で多くのがん患者さんたちの命が救われますように・・・。

二瓶先生、本当にありがとうございました。
これからも御活躍をお祈りしております。


[48]題名:ハーセプチンの再発前投与の件 投稿者:hana 投稿日:2004/04/14(水)
20:01 [RES]

毎回のご丁寧なご回答、本当にありがとうございます。

主治医に相談したところ、意外にも賛成してもらえました。
詳しい投与方法については差し障りもあるのでここでは申しませんが。

しかし、ひとつ不安があります。
現時点ではハーセプチンは再発治療薬という位置づけですので、どうしても延命という発想になります。

私としては、現時点では少しでも可能性があるうちはあくまで「治癒」を目指しての治療を期待しているわけなのですが。
ハーセプチンを投与することによって、「延命」は期待できるが逆に「治癒」の望みは絶たれるというような構図になることはないでしょうか?

再発のメカニズムからして、上記の考え方はナンセンスだとは思うのですが、現実に再発前投与が標準治療になっていないのはよほどのデメリットがあるからではと心配になります。

話を整理しますと、「医学的な観点のみでいえば、ハーセプチンの再発前投与のデメリットは効果が確認できないのにそれなりの副作用は確実にある」という抗がん剤一般と同様に考えてよいのでしょうか?

もちろんエビデンスが少ないために不明な点はいろいろあるでしょうが、再発前投与の明らかな医学的デメリットが他にあればお教えいただきたく存じます。

うまく話がまとまらず申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
 
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