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No.1


[5]題名:はじめまして 投稿者:二瓶です。 投稿日:2003/12/22(月) 13:38 [RES]

私、二瓶は福島医大第二外科在局中から野水医師と乳腺疾患の
診療・研究に関わってきました。
大学を出てからは郡山市内の病院で多くの乳腺疾患
特に乳がん患者さんの治療を行ってきましたが、病院の外来は
患者さんが多く、十分な時間をかけて病状の説明をしたり
質問に答えることができないことが度々ありました。
ましてや悩みの相談にのることなど論外でした。
そうした患者さんの中には、他の病院で十分な説明が
されなかったりあるいは誤った説明に納得のいかない方や、
悩みがあっても忙しそうな外担当医に聞けず苦しんでいる方が
多々おられました。
その点診療所では十分に時間をかけて病状や治療方針について
説明し、また悩みごとのご相談にも時間をかけて正しくお答え
できると考えました。
しかし、無床診療所では外科医として乳がんの手術ができない
という致命的な問題がありました。
そのことについては野水医師のご好意で星病院で手術をさせて
いただくことになり、思い切って5年ほど前病院を辞め現在の
クリニックに勤務しました。
ここで多くの乳腺疾患患者さんの診療に関わり、改めて正しく
あるいは十分に説明がされないために悩んでいる患者さんの
多いことを知りました。
少しでもこうした方々のお役に立てばと思い、この質問箱を
開設いたしました。
気軽にご質問していただければ幸いに思います。
できるだけ分かりやすくお答えしようと思っています。
また、そのようにすることが私自身の勉強につながり、しいては
今後のクリニックでの診療に役立つと考えています。
では、ご質問をお待ちしております。


[6]題名:PET検診 投稿者:マミ 投稿日:2003/12/23(火) 23:28 [RES]

二瓶先生 はじめまして  マミです。
一番乗りの質問で緊張しています。

私は2002年左温存 センチネルリンパ節生検(2cm リンパ転移なし)放射線66グレイ 現在ゾラデックスとノルバデックスの補助療法中です。

主人に来年中国へ赴任の打診があり、私の病状を会社から聞かれています。一緒に同行するかどうか決定するためにPET検診を受けようと思っています。再発のリスクは少ないと思いますが、医療レベルの低い国へ行く場合PET検診を
受けることについてどう思われますか?


[7]題名:Re: PET検診 投稿者:二瓶です。 投稿日:2003/12/24(水) 20:35

はじめまして
私も初めてなので緊張して答えを書かせていただきます。

まずPETについてですが、最近少しずつマスコミでも取り上げられるように
なってきました。
昨日も当地の地方テレビで特集が組まれていました。

日本ではまだ限られた施設にしかこの装置は導入されていないので
(大がかりな装置なので設置する場所とお金がないと導入できないのです。
そうした装置なので保険適応でない場合検査料も相当高いようです。)、
広く一般的に広がるにはまだまだ相当の時間がかかると思います。
アメりカあたりでは、検診はPETから始めようというような感じで、
かなりPET検査が行われているようです。

さて、マミさんの乳癌についてですが、乳房温存手術が適応となる腫瘤で
リンパ節転移も無かったわけですから、5年生存率は少なくても95%以上
期待できる状態だったと思われます。
乳癌の再発は術後3年以内に起こることが多いとされます。
その後7,8年目にまた少し多くなります。

マミさんの場合は、現在まで問題なく経過しているので、現時点で乳癌の
再発があるかどうかを目的としたPET検査は必要ないと思います。
通常の経過観察の方法で良いと思います。
つまり、年に一度胸・腹部CT検査、腹部超音波検査、骨シンチ検査、
両側マンモグラフィ撮影、年数回の腫瘍マーカーを含めた血液検査で十分だと
思われます。

それから乳房温存手術なので、温存した乳房内再発の問題があります。
きちんと術後照射が行われているのでその可能性は低いと思いますが、
可能性はゼロではありません。
時々自分で触診してしこりを触れないかどうか、皮膚の色の変化がないかどうか
(再発の時皮膚がピンク色や赤く変化したりします。)、またセンチネルリンパ節生検

なので腋窩リンパ節の腫れがないかどうか、一番近い鎖骨上や頸のリンパ節が
腫れていないかどうか調べたら良いと思います。

もし、乳癌以外の腫瘍性病変のスクリー二ングを目的とするのならPET検査も
良いかもしれません。
PETではだめなものもありますが、一度であまり苦痛なく頭から足の先まで検査できます。
その結果疑わしい部分が見つかると、その病変部に対してCT検査、MRI検査、超音波検査、
内視鏡等の装置を駆使して検査が行われることになります。

それから、ご主人の中国赴任に同行するかどうかの問題ですが、現在のマミさんの
状態ならば中国に行くこと自体に問題はないと考えます。

問題点は中国の医療状況です。
現在補助療法としてゾラデックスとノルバデックスが用いられていますが、
通常ゾラデックスは術後3年ぐらい、ノルバデックスは術後5年服用することになります。

ノルバデックスは日本から送れるとして、ゾラデックスの注射が問題になります。
マミさんはおそらく2年近くゾラデックスを続けていると思いますので、
ゾラデックスは中止しノルバデックスだけで経過を見ていくことも可能だと思います。


結論ですが、現状では乳癌再発の有無検索のためにPET検査を受ける必要性は
ないと思います。
ただし、全身の腫瘍性病変のスクリー二ング目的のPET検査なら有用かもしれません。


答えになったでしょうか。何かあったらまた質問してください。


[8]題名:Re: PET検診 投稿者:マミ 投稿日:2003/12/24(水) 21:42

二瓶先生 ご丁寧にお答えいただき有難うございました。
私は年に一度胸のエックス線とエコー、両側マンモと4ヵ月毎の腫瘍マーカーを含む血液検査をしています。検査が少ない気がしてこの際PET検査を受けようと思ったのですが、骨シンチなどが先ですよね。今度注射の時に病院で聞いてみます。主治医の診察は4ヵ月毎で長時間待たなければならず、すぐ答えて頂き何だか安心しました。


[9]題名:抗がん剤について 投稿者:かおる 投稿日:2004/01/14(水) 18:11 [RES]

はじめまして。8月に左温存手術をしました。センチネンタルリンパ生検デ、リンパを16個とって病理検査をしたところ、センチネンタルリンパ以外には、転移していないと言うことでした。その後放射線30回、ホルモン療法、服用と注射をしています。抗がん剤は主治医と相談して、しないことにしましたが、二瓶先生だったら、抗がん剤もされますか。主治医の先生は、血液検査からもホルモン療法が良く効くと思うので、といわれましたが、抗がん剤をしなくて大丈夫かなと不安があります。よろしくおねがいします。
 

[10]題名:Re: 抗がん剤について 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/01/15(木)
12:38

かおるさん、はじめまして。

治療の内容から判断してかおるさんは閉経前の方と見なして
お答えしたいと思います。

現在の治療はおそらく抗エストゲン剤(ノルバデックス?)の服用と、
LH−RHアゴニスト(ゾラデックス?)の注射をされていると思われますので、
術後の検査の結果はホルモン受容体が陽性で、リンパ節1個に転移があった
(センチネル リンパ節1個に転移あり)ということですね。

まず、乳癌術後にお薬を使った術後補助療法というものをなぜ行うかと
いうことについてお話します。

乳癌は比較的早期の段階から(しこりが小さい段階から)血管やリンパ管を通じて
リンパ節や遠くの臓器(肺、肝臓や骨など)に微少転移(大きな転移はCT検査や
超音波検査、骨シンチ検査などで見つけることができますが、微少転移は
現在の検査装置では発見困難です。)を来しやすいと考えられています。
手術はあくまでも局所療法で、そうした遠くの微少転移には無力です。
そうした手術では取り除けない微少転移を、お薬を使ってやっつけようというのが
術後補助療法です。

中には微少転移が全くなくて手術だけで十分で補助療法を必要としない人も
当然いるわけですが、今のところそうした人を見つける方法がありません。
そこでこれまで行われた様々な検討の結果に基づいて補助療法を
することになります。

新しい検討結果が出るごとにそのやり方は変化してきていますが、現在は1個でも
リンパ節に転移がある場合には微少転移の可能性が高くなるので、抗癌剤による治療
(化学療法といいます。)をするという考え方が一般的になってきています。
化学療法をすれば完全に再発を防げるわけではありませんが、ある信頼できる検討に
よればリンパ節転移陽性の50歳以下の場合、化学療法を行うとしない場合に比べ
10年間無再発生存率を15.4%改善したと報告しています。

私たち治療をする者が術後の補助療法を決める際に参考にする世界的な基準と
なるものがあります。
多くの日本の乳癌治療に関わっている者が参考にしているものです。
それは2年ごとにスイスのザンクトガレンという町に世界の著名な乳癌の研究者が
集まって検討し決まるものですが、それによると閉経前でホルモン受容体陽性かつ
リンパ節転移あり(かおるさんの場合ということになりますが)の術後補助療法の
やり方には二つの方法が書かれています。

一つは化学療法を第一に行いホルモン療法を加えるというやり方です。
この場合のホルモン療法はノルバデックスだけでも可とされています。

もう一つの方法はホルモン療法だけというものですが、この場合のホルモン療法は
ノルバデックスの服用だけでは不十分で、かおるさんのように注射のホルモン療法剤
を併用するかその代わりに卵巣を摘出するというやり方です。

さて、かおるさんの場合リンパ節転移個数も最小限の1個ですし、ザンクトガレン
のすすめによれば今のホルモン療法だけでも十分正しいやり方といえます。
主治医に従い今の治療法をきちんと続けることが大切だと思います。

私の場合どうしたかということですが、もしリンパ節転移が3個以上という場合には
患者さんの同意が得られれば化学療法を行うと思います。
かおるさんの場合最小限の1個なので、患者さんと相談の上かおるさんと
同じ治療法をとることもあると思います。

化学療法を行う場合、経口抗癌剤を用いた化学療法でなく注射剤を用いた
化学療法となります。
最近の研究結果に基づく一般的なやり方は、術後まず先に化学療法を行い
(期間は半年近くかかります)、それが終了してからホルモン療法に移ります。

かおるさんの場合、放射線療法を含めきちんとした手順で治療が行われているので、
ホルモン療法だけの術後補助療法でも十分と思いますので、服用の仕方を守り
きちんと続けてください。
ただし、前にも書いたようにどんな治療法でも完全に再発を防ぐものでは
ありませんから、きちんと診察・検査は受けてください。

少し難しく書いてしまいました。
お答えになっているかどうかわかりませんが、また疑問点があったなら気軽に
ご質問ください。


[11]題名:ホルモン療法と食事 投稿者:かおる 投稿日:2004/01/16(金) 18:13
[RES]

二瓶先生、お答えいただきありがとうございました。
主治医の先生と二瓶先生と、同じ意見なので、安心して治療を受けることといたします。

私は48歳、閉経前です。ノルバテックス5年間、お腹に打つ注射2年の予定です。化学療法をしない分、自分で食事やストレスに気をつけて生活しようと思います。
今よく耳にする、イソフラボンですが、女性ホルモンを活発にして更年期症状を和らげると聞いたことがありますが、私みたいにホルモン療法をしているものは、大豆製品とか控えたほうがよいのでしょうか?
女性ホルモンを抑制させているので、活性させる食べ物があれば避けたいと思います。

ホルモン療法をしている時に食事など気をつけることがあれば教えて下さい。よろしくおねがいします。
 

[12]題名:Re: ホルモン療法と食事 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/01/18(日)
10:42

かおるさんのお年を知りましたが、それから判断しても今の治療方針で良いと
思います。
それぞれの投与年数も妥当です。

さて、日本人に乳癌が少ないのは昔から大豆からできた食べ物たとえばみそ、
豆腐、納豆などを普段から多く食べてきたことにあると考えられています。
残念ながら今日本人の乳癌発生は年々増加していますが、これは伝統的な
日本食から欧米風の食事に変わってきたことが原因の一つになっているのかも
しれませんね。

乳癌はエストロゲンが過度に乳管や母乳を作る小葉の細胞に刺激を与え癌細胞化
するのが始まりと考えられています。
もちろんそこには遺伝子が絡む複雑な発癌過程がありますが、それは置いておきます。

イソフラボンはそのエストロゲンと似た化学構造式を持っています。
だとすれば、イソフラボンはホルモン受容体陽性の乳癌(かおるさんの場合も
そうですが)に対しては刺激的に働くと想像されます。
ところがいろいろな研究の結果から、イソフラボンは乳癌に対し抑制的に
働くようです。
先に受容体にイソフラボンが結合してエストロゲンの刺激をくい止めるようです。
この働きはノルバデックスの働きと同じです。
研究の結果イソフラボンには血管新生を抑制する物質も含まれるようです。
癌ができると新しく血管ができて癌細胞に栄養を運ぶことになります。
この新生血管出現を抑制する薬の開発が今行われています。
イソフラボンにはその他に、更年期症状を和らげたり、骨粗鬆症を改善したり、
乳癌以外の癌の発生を抑制したりする働きもあるようです。
結論は絶対イソフラボンを服用すべきということはありませんが、イソフラボンを
服用することは別に害にはならないだろうということです。

食事については特に制限はありませんが、動物性の脂肪の摂り過ぎやカロリーの
摂り過ぎには注意が必要です。
ホルモン療法中は少し太る傾向が見られます。太ることは体脂肪が増えることで、
閉経後はこの脂肪の中で酵素の働きでエストロゲンが作られます。
20%以上肥満の方に乳癌発生の危険性が増すのは、エストロゲンの濃度が高くなる
ためと思われます。
そういう点でも、伝統的な日本食は良いと考えられます。
一緒に乳癌の仕事をされている野水先生は発癌予防のための食事についても
造詣の深い方で、発癌予防のためには大豆製品の納豆、豆腐、味噌を摂ることと
おしゃっています。
つまりイソフラボンの多い食べ物です。お答えになったでしょうか。
では、このへんで。


[13]題名:無題 投稿者:かおる 投稿日:2004/01/19(月) 12:52 [RES]

二瓶先生、ありがとうございました。
イソフラボンとホルモンについて、よく分かりました。
高脂肪の肉類を少なめに、野菜や豆製品をバランスよくとるように心がけて食事をしていこうと思います。
このたびは、ありがとうございました。


[14]題名:温存するまで 投稿者:ももこ 投稿日:2004/01/23(金) 18:26 [RES]

お忙しいところ申し訳ございません。
47歳女性。閉経前です。しこりが気になり2003年10月1日に受診し、超音波、マンモグラフィー、針生検を行いましたが結果は良性だろうとのことでした。しこりが6ミリくらいと小さいため組織が確実に取れているかどうかわからないためだそうです。

何もなければ6ヶ月後、大きくなってきたらいつでもいらっしゃいとのことでしたが、時々「あ、いたい。」と思う日々でしたので1月10日に再度受診いたしました。そして16日に手術にて腫瘍を取り出す生検を致しました。もう一つのしこりも近くに(2−3cm間隔で)手術中に見つかりとりだされました。

その結果21日に癌(スキルス)であることが知らされました。30日に温存の手術を受ける予定ですが、温存をするに当たり、乳房の他の部分に微小な取り残しがないかどうかということは詳しく検査されずに今までのデータのみで心配ないのでしょうか?
顕微鏡レベルのものは仕方がないとして、MRIやマルチCT等で検知可能なレベルの腫瘍に関してです。
普通はどういう過程で残した乳房に取り残しがないと判断されるのでしょうか?

また温存で筋膜を除去してしまうと、今回は良いのですが乳房内再発をした場合筋膜の下へ広がりやすくなるでしょうか?肺への転移がし易くなるでしょうか?

温存で放射線をかけない(化学療法は行うとの事です)という方針の主治医ですが、先生はどのようにお考えになりますか?治療成績には差がないとのお考えのようなのですが。

これらのお答えをお聞きした上で最終決定を行いたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。


[15]題名:Re: 温存するまで 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/01/25(日) 12:40

はじめまして、ももこさん。

日本で乳房温存療法が行われるようになったのは1990年頃からで
十数年が経ちました。
現在はおそらく乳癌患者さんの45%前後の方が乳房温存手術を
受けておられると思います。
外国では20数年の歴史があり、この間様々な検討が行われてきました。
その結果に基づいて診断法、手術のやり方、温存された乳房に対する
放射線治療の方法さらに術後の化学療法や内分泌療法の仕方が
変化してきました。
日本でも外国での検討結果を取り入れたり独自の検討結果から治療法に
変遷が見られます。
一応標準的な乳房温存療法の仕方についてのガイドラインが
出されていますが、現状は主治医の考え方、それに病院の設備面や
健康保険上の制約から様々な方法で乳房温存療法が行われているのが
現実だと思います。

さてももこさんの場合ですが、6mmのしこりとなると超音波やマンモグラフィ
で存在診断はできても、それが良いか悪いかの質的診断となると
難しくなります。
そこで針生検ということになりますが、細い針での穿刺吸引細胞診という
方法では6mmのしこりの真ん中に確実に針先を入れ細胞を取るのは
たいへん難しいことです。
超音波で見ながら確実に針先がしこりに入っていることを確認しながら
取れば確実性が増しますが、その方法でもしこりが小さい場合は十分な細胞量が
取れるかどうか問題です。
悪性細胞が取れれば診断は確定的になりますが、悪性細胞が見られなくても
癌でないとはいえません。
それにスキルスでは他の組織型に比べ、大きなしこりの場合でも取れてくる
細胞量が少ないということがよくあります。
6mmのしこりでは針がしこりに入っていても細胞が十分に取れず判定ができないと
いうことは普通にあることです。
そこで次にどうするかとなると、超音波で確認しながら太い針で組織の一部を
取ってくるか、ももこさんの場合のように局所麻酔で摘出生検ということになります。


結果は癌(スキルス)ということでした。
スキルスは乳頭腺管癌などに比べ乳管内を延びていく(乳管内進展といいます)
という性質が少なく、ある意味温存手術には適した組織型ともいえます。
まして6mmの大きさに対して温存手術は何ら問題はありません。
ももこさんの場合は、2〜3cm離れたところのもう一つのしこりの存在が問題です。
病理診断の結果癌でなかったら問題ありませんが、癌ならばそれが乳腺内転移か
(嬢腫瘤が存在すといいます)あるいは多発癌(同じ乳房内に同時にいくつかの
乳癌が出現した状態)かで対応の仕方が変わってきます。
なぜなら、多発癌は乳房温存手術の適応からはずれることがあるからです。
少なくとも昔は完全にはずされていました。
しかし、最近はももこさんが書かれたように診断装置の進歩で、マルチスキャンCTや
MRIで乳管内進展の状態や多発病変の確認が可能で、多発でも温存手術ができる
場合があります。
ももこさんの場合そこまでする必要があるかどうかということになりますが、
他にしこりがないのであれば予定どおり手術を受けられたらよいと思います。
他に癌のしこりがあれば超音波で確認できるのではと思います。
今回の摘出生検で病理検討がなされ、乳管内進展の状況とかもう一つのしこりが
どういうものであるか検討されていると思いますので、後は手術で切除した縁
(断端といいますが)に癌細胞が見られないかどうかという問題になります。
その確認の方法は、主治医の考え方で変わってきますが、手術中に断端を
病理の先生に調べてもらう術中迅速診断か、術後に通常の方法で病理診断を
してもらうことになります。
断端に癌細胞が存在する場合は(断端陽性、この場合通常乳管内進展ということに
なりますが)さらに切除範囲を追加するか、乳房切除に切り替えるということに
なります。
術中生検の方法をとった場合はその場で方法を変えることができますが、
術後診断の場合は再手術となります。

乳房は筋膜で大胸筋に接していて、癌が筋肉内に直接浸潤するのを筋膜が
くい止める働きをしています。
どんどん癌が浸潤してくればやがて筋膜を破って筋肉内へ癌細胞が入っていきますが、

最初の手術でそこまで進んだ癌はあまりありません。
術後に筋膜の下へ広がりやすいのではという質問ですが、それは残念ながら
残存乳房内再発の場合ですから、今は心配しなくていいと思います。
肺転移については、これは遠隔転移で(肝転移や骨転移などのように残存乳房再発や
局所転移以外を遠隔転移といいます)乳房の手術の方法とは関係なくおこってくる
もので、温存手術をしたからおこり易いというものではなく、乳房切除をしたから
おこらないというものでもありません。

術後残存乳房照射の問題ですが、ガイドラインには残存乳房照射が
すすめられています。
アメリカのある信頼できる検討結果によると、術後20年経過した時点で
残存乳房再発は照射した群で14.3%に対し、非照射群で39.2%だったとしています。
これは事実ですから照射すれば再発が少なくなりますが、照射すれば再発しない
ということではないということも事実です。ただしこの数値は手術法によっても
変わってくるので、このまま日本人の乳癌に当てはまるものではありません。
照射するかどうかについても、日本では主治医の考え方に温度差があります。
欧米流合理的にしこりから1から2cm離して円状に切除し全例照射という考えの
先生もいれば、きちんと2cm離して楔状に切除し断端の病理診断で癌細胞が
見られなければ(断端陰性といいます)照射はしないという先生もいます。
照射をすれば再発が少なくなるのも事実ですが、照射なしでも再発しない方が
多いのも事実です。
むしろ後者の方が圧倒的に多いかもしれません。
照射を必要としない患者さんを選択する確実な方法が存在すれば、無駄な照射は
せずにすむことになります。
現実にはまだその方法がなく、合理的に全例照射という方法も理にかなっていると
いえます。
日本では、温存手術が始まった当初から、さる乳癌治療で指導的立場にある病院が
できるだけ照射はしないとう方針で治療を行ってきました。
現在は、必ずしもそういう方針ではないようですが、その検討結果によれば
確実に断端に癌細胞が残らないように手術をすれば照射しなくても再発は
少なくできるというものです。
私の大学でもそのような方針で乳房温存療法を行ってきました。
現在もその方針で行っています。照射した場合に比べれば多少再発は
多くなるかもしれませんが、照射しなくてもよい患者さんに照射をせずに
済むことや照射による問題(長い目で見てあるかどうかわかりませんが)を
回避できるとも考えられます。
このことは、ももこさん自身でもよく考え主治医の考え方もよく聞いて
納得した上で照射するかどうか決めるしかないと思います。
かりに私であれば、しこりが小さくスキルスであるので確実に断端陰性で、
リンパ節転移なし、リンパ管や血管内に癌細胞が見られなければ照射なしと
すると思います。
ただし前にも書いたように、嬢腫瘤や多発癌の問題が絡んでくるので、
そのことを考慮して最終決定しなければならないと思います。

術後の補助療法については内分泌療法にしろ化学療法にしろ世界標準的な方法で
行えばいいと思います。

日本の乳房温存療法は、主治医の考えによって様々な方法がとられているのが
現状です。
主治医と話し合い納得する方法で治療を受けてください。
主治医を信頼することが第一です。
摘出生検を受けておられるので速やかに手術を受けられるのが賢明です。
治療が順調にすすむことをお祈りいたします。


[16]題名:無題 投稿者:ももこ 投稿日:2004/01/25(日) 14:46 [RES]

大変ご丁寧なご説明をいただきまして、本当に有難うございました。嬉しくて、また色々なことがわかってくると共にに元気が出てまいりました。
お時間をたくさんいただきましたのに心苦しいのですが、再度ご質問をさせていただけますでしょうか。

その後主治医にお願いして紹介を受け、1月24日にマルチスライスCT(16列)のある施設にてCTをとっていただくことが出来ました。その映像にははっきりと癌を疑うものはみとめられないとのことでしたが、多発癌の疑いもすてきれないことからMRIによる検査、その他も受け、納得の上で治療を進めらる事を進められました。私もそれを希望しているのですが、問題は既に16日に生検を受けてしまっているということです。生検から最大4週間程過ぎてしまっても影響は少ないでしょうか。またどれくらいまで待てるものでしょうか。

もう一つですが、多発癌、嬢腫癌であるかどうかというのは、どのようにしてどの段階で調べることが出来るのでしょうか。また何日位かかるのでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。


[17]題名:Re: 無題 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/01/26(月) 13:45

折り返しお返事できれば良かったのですが、所用で出かけてしまい
遅れてしまいました。

マルチスキャンCTで他に病変が認められないようで良かったですね。
さらにMRI検査も受け、納得した状態での手術がベストだと思います。

手術の時期についてですが、外科的生検をした場合ははっきりとした
根拠はありませんが2週間以内に手術をした方がいいとか、あるいは
3週間以内に手術をすべきだとか言われてきました。
外科的生検には癌の一部を切り取る方法と、癌をころっと全部取って
しまう方法があります。
前者の場合は癌の中にメスを入れ刺激を与えていますから、手術までの
時間がより問題になってきます。
後者を摘出生検といいますが、たぶんももこさん場合はしこりが
小さいのでこの摘出生検がなされていると思います。
これならあわてる必要はないと思いますが、できるなら1ヶ月以内に
手術を受けられたらより良いかなと思います。
それから少し期間が延びたとしてもさほど大きな影響はないと思います。

次に、原発巣と別の腫瘤が乳腺内転移(嬢腫瘤)か多発癌かという
問題ですが、これは手術後の病理組織診断で決まります。
乳癌は母乳の通り道である乳管の内側の細胞が癌化したものですから、
病理組織検査でその腫瘤中の乳管内に癌細胞が認められれば、そこから
癌が発生したことになり多発癌という診断になります。
腫瘤中の乳管内に癌細胞が認められなければ、その腫瘤は転移性の癌と
いうことになります。
いずれにしても手術前には確定できないと思います。

今回はCTとMRIで広がり診断をきちんと行って乳房温存手術を受け、
病理組織診断が出たところで主治医の先生に詳しく説明を聞かれると
いいと思います。


[18]題名:有難うございました。 投稿者:ももこ 投稿日:2004/01/26(月) 18:55
[RES]

再度ご丁寧にご説明をいただきまして、有難うございました。大変心強い思いで感謝いたしております。
アドバイスをいただきました通り、なるべく早く手術を受けたいと思っております。


[19]題名:お聞きしたいのですが 投稿者:さくら 投稿日:2004/02/15(日) 12:20
[RES]

はじめまして
お忙しい所すみませんが、二瓶先生のご意見をお聞きしたいと思いまして、書き込みをしました。
42歳で閉経前です。温存で手術を受けました。センチネルリンパ節生検で転移なし、ホルモン受容体は両方陽性
乳腺断端は陰性でした。現在は放射線治療を受けていますが、終わりましたら、リュープリン2年とノルバデックスを5年を予定しているのですが、二つした方が宜しいのでしょうか?リュープリンとゾラデックスを選択する場合は何が基準となるのでしょうか?どちらも卵巣の働きを抑える注射のようですが、ゾラデックスは腹部に注射で、リュープリンは腹部、上腕部にも注射が出来るようですし、他にも若干の違いが有るように思うのですが、リュープリンか、ゾラデックスかに決める場合はどのように決めるのでしょうか?ノルバデックスは閉経前でも全く効かない訳ではないけれど、閉経後の方の方が良く効く薬なのでしょうか?もし、そうでしたら、副作用の事が有っても飲んだ方が良いのでしょうか?
リュープリンの事を調べていましたら、手術後の補助療法については、有効性、安全性が確立していないので、手術後の再発防止には投与しない事と言う文を読んで、とても怖くなってしまいました。
お忙しい所申訳有りませんが、ご意見をお願い致します。
 

[20]題名:Re: お聞きしたいのですが 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/02/16(月)
21:34

さくらさん はじめまして。

術後経過は順調のようでですね。ご質問にお答えします。

乳房温存手術では術後に放射線治療を行いますが、このことによって残存乳房内再発を

ゼロにすることはできませんが、再発率を下げることは証明されています。
ご存じとは思いますが、乳癌は早い段階から全身病と考えられています。
手術や放射線治療はあくまでも局所治療なので、術後に全身療法が行われることに
なります。
このことを術後補助療法といいます。
もちろん、手術だけで十分な場合もあります。
全身療法には薬物を用いますが、乳癌の場合は抗ガン剤による化学療法と内分泌療法が

あります。
ただし、内分泌療法はホルモン受容体が陽性の場合に行われます。
どのような治療を行うかは、年齢とか術後の様々な検査の結果を総合的に検討して
決められます。
さくらさんの場合は、乳房温存手術で断端陰性、リンパ節転移なし、ホルモン受容体は

エストロゲン受容体プロゲステロン受容体ともに陽性という結果なので、化学療法は
必要なく内分泌療法だけ行うという方針になったと思われます。
 
さくらさんの場合は放射線治療だけで残存乳房再発の問題に関しては十分と思われますが、
遠隔臓器転移つまり肺,肝、骨などへの転移を少なくしようという目的の術後補助療法を
きちんと受けるべきだと思います。
私の経験からも、30代40代前半の方はたとえしこりが小さくリンパ節転移がなかったと

しても、しっかり補助療法をすべきだと思います。
さくらさんの場合は前にも書いたように内分泌療法だけでもいいと思います。

普通の乳癌は乳管上皮細胞という母乳の通り道である乳管の内側の細胞が、
エストロゲン(卵胞ホルモン)の過度の刺激を受け癌細胞に変化するのが始まりと
考えられています。
刺激を受ける場所がホルモン受容体(エストロゲン受容体、エストゲン レセプター、

あるいはERなどと言います)です。
乳癌細胞は、はじめのうち癌化する前の正常細胞の性質を受け継いでホルモン受容体を

持っていると考えられています。
時間経過とともに受容体が失われ受容体陰性となり、ホルモンの刺激とは関係なく
増殖する細胞に変化していきます。
ホルモン受容体を持ったおとなしい細胞からやんちゃな細胞に変わっていくわけです。

内分泌療法とは簡単にいえばこのERが刺激されないようにすることです。
その方法は大きく分けてERにふたをしてエストロゲンが入れないようにするか、
体内のエストロゲン濃度をできるだけ少なくするかの二つです。
ふたをするのがノルバデックス、エストロゲンを少なくするのが卵巣の働きを
止めてしまうゾラデックスやュープリンということになります。
閉経後になると卵巣からエストロゲンは分泌されなくなりますが、副腎から出てくる
男性ホルモンに似た構造のホルモンが脂肪組織の中などで酵素の働きで
エストロゲンに変化します。
つまり閉経後もエストロゲンは存在しますが、その濃度は閉経前に比べはるかに低く
ノルバデックスだけでも十分な効果が期待できます。
このことがノルバデックスは閉経後に効きやすいことの理由です。
(閉経後の場合はこの酵素の働きを止める内分泌療法剤の適応もありますが、
さくらさんは閉経前ということでこのタイプの内分泌療法剤の適応はないので、
この薬については省略させていただきます。)
閉経前は卵巣からエストロゲンが分泌されているので、ノルバデックスでERに
ふたをするだけではエストロゲンの刺激を十分にくい止めることができません。
そこでゾラデックスやリュープリンで卵巣の働きを止めて人工的に閉経後の状態にし、

エストロゲンの量をできるだけ少なくしようということになります。
そのようにした場合でも閉経後のように副腎由来のエストロゲンは存在しますから、
その働きをノルバデックスで抑えようというのが二種類の内分泌療法剤を用いる
理由です。
この方法が現在全世界的に行われています。

難しいことを言えば、両方陽性とか、片方だけ陽性とか、陽性の強さの程度とか
ありますが、さくらさんの場合は両方陽性なので内分泌療法が効いてくれると
思います。

さてゾラデックスとリュープリンのことですが、どちらも働きは同じです。
どちらを用いても卵巣の働きは止まり、内分泌療法剤としての有効性もほぼ同じだと
思われます。
新しく開発された薬がある目的に対して国から適応の認可を受ける場合は、従来の
薬と比較して効果が同等かそれ以上であることを証明しなければなりません。
ゾラデックスは閉経前患者さんの術後補助療法剤としておよび閉経前患者さんの
再発治療剤として多くの患者さんの協力を得て治験を行い、ゾラデックスを
使用しない場合と比較して生存率が改善されたことや再発率を低くできたことを
実証し適応を得ています。
リュープリンはおそらくまだ術後補助療法としての治験を完了していないので
適応が得られず、補助療法としては有効性、安全性が確立していないという表現に
なっていると思われます。
しかしながら、治療の現場では術後補助療法としても使用されているのが現実です。

ゾラデックスとリュープリンのどちらでもいいと思います。
主治医の先生の考えや好みということだと思いますが、私の場合は適応の取れている
ゾラデックスを用いています。
リュープリンは液体ですからどこにでも注射できます。ゾラデックスは
細い棒状なので、普通は下腹部の皮下に注射器で挿入します。
ちょっと太めの針ですが、昨年改良され注射時の痛みは思ったほどではないようです。

閉経前の内分泌療法をきちんと行うためには二種類の薬物併用がより良いと
思いますので、ぜひ併用で受けてください。
この場合ノルバデックスが5年間、ゾラデックスかリュープリンが2年ないし
3年というのが現時点での一般的なやり方です。
この組み合わせの内分泌療法は放射線治療と同程度に残存乳房内再発を
抑えたという報告も見られます。

では、このへんで。また疑問があったらご質問ください。


[21]題名:有り難うございました 投稿者:さくら 投稿日:2004/02/17(火) 18:34
[RES]

お忙しい所、丁寧なお答えを下さいまして有り難う御座いました。感謝致します。
以前に郡山市に住んでいた事が有りますが、今も住んでいましたら、二瓶先生に見て頂きたかったと思いました。
お聞きしまして、内分泌療法を受けた方が良いと思いましたが、やはり、リュープリンとゾラデックスの事が気にかかっています。効果は同じとの事ですので、先生にお任せするしかないのかなーとも思うのですが、適応が取れているゾラディクスの方が安心できるようにも思います。
主治医の先生がリュープリンにしますとおっしゃっているのに、患者の方から知識もないのに、こちらにして下さいとは言えないようにも思います。
効果は同じでも、副作用などに違いは有るのでしょうか?
ゾラデックスをされている方の書き込みを見ますと、かなり痛みが有るようでしたが、二瓶先生に注射器が改良された事も教えて頂けましたので、安心できました。
リュープリンの場合は、どこにでも打てるとの事ですので、ゾラデックスよりは痛みはなさそうですが、適用が取れていないと言う点が気にかかってしまいます。
放射線治療も後数回で終わりますが、放射線治療が終わりましたらすぐに、内分泌療法を受けた方が宜しいのでしょうか?一週間位おいてからでは問題はありますでしょうか
手術が終わってから生理になりましたが、ゾラデックス、
リュープリンを注射する際に、生理と日が重なっていても大丈夫なのでしょうか?日にちをずらして注射を受けた方が宜しいのでしょうか?
お忙しい所何度も申し訳有りませんが、宜しくお願い致します。
二瓶先生のパートナーさん達、とても可愛くて心が和みました。家にもダックスがいます。以前はネコがいましたので、両方いてうらやましくなっちゃいました。


[23]題名:Re: 有り難うございました 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/02/18(水)
20:16

私の家のダックスは家に来て以来一度も外の散歩をしたことがありません。
地上に降りしたことはありますが、一歩も歩いたことがありません。
車には喜んで乗っていくのですが、地上に降ろすとふるえて固まって
しまいます。
内弁慶で家の中を猫を追いかけて走り回っています。
吠えないので静かですが、番犬にはなりそうにありません。
ソファーに座っていると猫のように膝の上に飛び乗ってきてくつろいでいます。
-
さて、本題に入ります。
リュープリンとゾラデックスはどちらもほぼ同じような薬理作用の薬なので、
副作用の点でも大きな違いはありません。どちらの薬でも初回投与時は
一過性に卵巣からエストロゲンの分泌が増すので、一時的な病状の悪化や
骨の痛みが出現することがあるとされています。
これは再発治療に用いたときのことで、術後補助療法として用いるときは
転移病巣がないわけですから症状の悪化等は当然ありません。
副作用のない薬はないので、どのような薬にもある一般的な副作用については
省略させていただきます。
特異的な副作用としては、これらの薬を用いると人工的に閉経状態になるので
いわゆる顔のほてりといった更年期様の症状がけっこうみられます。
それから閉経後女性は男性に比べ骨密度の低下が著名で、場合によっては
骨粗鬆症になり骨痛が出たりします。
人工的に閉経状態になった場合も同様なので、治療中は骨密度の検査を
受けたりすることも必要と思います。
- 
 注射の時期については生理と重なってもかまいません。
放射線治療終了直後すぐに始める必要はなく、1,2週後からでも
よいと思います。
再発予防のためですから、あまり期間をおくのは問題です。1回目の注射後、
だいたいは次の生理かその次の生理から止まると思います。
以前はこの目的のために外科的に卵巣を摘出していましたがこのタイプの薬で
卵巣の働きを止めた場合は、薬を中止すると100%ではありませんが生理が
戻ります。
ただし、40代後半で用いると薬を中止してもそのまま閉経になってしまう
ことはあります。
-
 適応の問題ですが、前回も書いたようにリュープリンは閉経前乳癌の適応は
ありますが、補助療法としては適応となっていません。
つまり閉経前の再発にだけ使用してよい薬ということになっています。
ゾラデックスは補助療法としても適応になっていますが、6ヶ月以上の
長期投与については慎重に行うようにとなっています。
しかしながら、現場の医療では全世界的に多数の患者さんに2年3年と投与
されていて、今のところ長期投与による問題は出ていません。
-
一般的にはいろいろな報告をみてもゾラデックスの方が多く使われていると
思います。
現代の医療ではEBM(evidence based medicine)つまりエビデンス
(有用性が実証されていること)に基づいて治療をすることが求められている
わけですから、そういった意味ではゾラデックスを用いるということになると
思います。
保険上も適応外で薬を用いると場合によって査定されるので、普通は
ゾラデックスを用いると思います。
-
注射の痛みについては、リュープリンは普通の注射針で上腕か臀部または
下腹部に注射するので普通の注射ほどの痛みということになります。
ゾラデックスは針が太いので普通の注射よりは痛いと思いますが
(自分自身に注射したことはないので無責任な話ですが)、針を刺す一瞬の
ことだし針先の改良もされたので以前よりは痛みは軽減していると思います。
針を刺す者の技量にもよりますが、いずれにしても我慢できる範囲で
大方の方は痛くなかったとおっしゃいます。


[24]題名:再度 有り難うございました 投稿者:さくら 投稿日:2004/02/19(木)
17:21 [RES]

お忙しい所有り難う御座いました。とてもわかりやすく説明をして下さいますので、お聞きする事ができまして、本当に良かったです。
リュープリンをします。と言われているので、再発はしていませんので、何故?と言う思いが残りますが、
ゾラデックスが出た時に多くの患者さんの協力を得て治験を完了して適応が取れた。との事ですので、リュープリンのデーターを取る為なのかなーとも思いますが、自己負担に大きな差が出るのでしたら困りますし、主治医の先生にお聞きしてみた方が良いのかなーと思いました。
主治医の先生は、何となくお聞きしにくいふいんきなので
二瓶先生のように、親切丁寧にお答え下さるこのような場が有りますと、本当に助かります。
お忙しいと思いますが、これからも宜しくお願い致します

地上に降ろすと、ふるえて固まるようですが、家の犬も全く同じでした。シッポを下げてブルブルで、動けずにいました。毎日外に連れ出しているうちにお外大好き犬になってしまい、今思いますと、ほどほどにしておいた方が良かったかなーと少し後悔しています。先生の所にはネコさんもいますし、追いかけ回して遊べるようですので、いいですねー。
家もすぐに膝の上に乗ってくつろぎます。犬ではなく猫みたいだなーと思っていました。甘えん坊な所がまた可愛いんですよねー。他の方に聞きましたら、膝の上でくつろいでいる犬はいないようです。
先生の所のダックスちゃんと行動が似ていてビックリしました。それでは、パートナーさん達にも宜しくです。


[27]題名:乳房温存手術後の放射線治療 投稿者:H.Y 投稿日:2004/03/04(木)
16:53 [RES]

38歳 埼玉県在住 左胸乳房温存手術を2月6日に受けました。主治医は今後、放射線治療とタモキシフェンを最低2年、出来れば5年と言っています。11月に他院で生検をし、しこりは取っていたのですが、今の病院でもう一度、プレパートを病理に回してもらい、結果、一ヶ所断端陽性だったので、追加切除の手術が2月6日です。その病理結果は、種瘍径3.4×1.9×0.9cm。組織型:Ductal carcinoma in situ  浸
潤度:g(-),f(-),s(-),p(-)
核異型:score 2,核分裂:sucore 1 (2個/HPF),nuclear
grade 1 、リンパ管浸潤:ly0、静脈浸潤:v0 comedo pattern:(-),石灰化:(++)癌周囲リンパ球浸潤(+)断端(very cloce) ,ER(+-),PGR(++),HER2/neu:HercepTest(score1+) で
す。私は放射腺治療を希望してないのですが大丈夫でしょうか?
 

[28]題名:Re: 乳房温存手術後の放射線治療 投稿者:二瓶です。 投稿日:2004/03/05(金)
21:01

はじめまして、仮にAさんとお呼びします。

 Aさんの病理組織診断は非浸潤性乳管癌ということですので、
100%診断が正しいとすれば理論上は乳房全切除を行うことで
治癒ということになります。
非浸潤癌では癌細胞が乳管内にとどまっており、血管内やリンパ管内に
入っていませんから遠くに転移することはありません。
Aさんの場合、ly0,v0という結果がそのことを表しています。
他の病理組織診断の項目でER(+),PgR(++),comedo(-),HER2(score 1+)は、
Aさんの癌細胞がおとなしい細胞であることを教えてくれます。
ERとPgRの両方が陽性ですから、内分泌療法の効果も期待できます。
 -
 乳房温存療法が始まった頃は、非浸潤癌は乳房温存手術の適応から
はずされていました。(非浸潤性小葉癌は今でも適応外です)
どこまで癌が広がっているかを、術前に見極めることが難しかったからです。
その後、欧米で非浸潤癌に対する乳房温存手術の有用性について検討が
行われました。
その結果この術式の有用性が認められ、非浸潤癌に対しても温存手術が
行われるようになりました。
その場合の残存乳房に対する放射線照射についても検討が行われ、
断端陰性の場合手術に関係した局所再発が6割に低下したという結果が
出されています。
ただし、同じ検討で浸潤癌の場合は3割に低下するとしており、
非浸潤癌に対する照射の効果は低いと考えられます。
-
 Aさんの場合について考えてみます。
これまでの検討で得られたevidense(証明された事実)によれば、
残存乳房照射はするべきということになります。
乳房温存療法のガイドラインにはそう書かれています。
しかし、現実を振り返ると照射の恩恵を受ける方は少数で、
照射を必要としない方のほうが大勢であることも確かです。
-
Aさんの場合、非浸潤癌では浸潤癌ほど照射の効果が少ないこと、
局所再発が出現するまでの期間が浸潤癌に比べ長く平均5.2年であること、
Aさんの癌細胞は病理組織診断のすべての項目からおとなしい細胞であることを
考慮すると、照射はせず内分泌療法だけで経過観察することも決して
間違いでないと思います。
おとなしい乳管内の癌細胞には、内分泌療法の方が効果的かもしれません。
-
このへんのことになると、学者の間でもまだ一定の見解はないと思います。
ただし、Aさんは三十代で血中エストロゲンの濃度が高いですから
タモキシフェンだけの内分泌療法では不十分で、LH-RHagonistとよばれる
ゾラデックスを併用すべきだと考えます。
世界標準的にはタモキシフェンが5年、ゾラデックスが
2から3年ということになります。
-
 今、前の段に書いたことはあくまでもAさんの今回のしこりだけに関しての
ことです。
乳房温存手術後の残存乳房照射の目的は、手術したしこりに関係する
局所再発(断端陽性だったとかが原因の再発)の防止と、残存乳房内の
新たな乳癌発生を予防することにあります。
そうした見方の場合では、照射をすることによって残存乳房内再発
(この場合、新しい乳癌の発生も含めて残存乳房再発と呼びます)が
3分の1に減るという報告が多く見られます。
-
Aさんの場合一つ気になる点は断端がvery closeということですが、
つまり非連続的な乳管内の癌細胞が残存乳房側に残っている可能性を
否定できないということです。
-
しかし、一応断端陰性とすれば、今回のしこりと関係する局所再発防止のための
放射線治療は必要でないという可能性の方が高いと思われます。
つまり、今回放射線治療を受けた場合のメリットは、残存乳房に新たな乳癌が
発生することを予防できるかもしれないということになりますが、
100%は予防できません。
Aさん自身の考え方次第だと思います。
-
放射線療法は受けないというのも、一つの考え方で決して間違っていないと
思います。
将来残存乳房再発、あるいは新たな乳癌の発生ということが起こりうるかも
しれませんが、そのことを十分に納得した上で照射なしの内分泌療法だけで
経過観察されたらいいと思います。
定期的に診察と検査をきちんと受け、もしも問題が生じた時には再度部分切除か
乳房切除をすることで十分対処できる可能性が高いと思います。
-
面倒くさい内容になってしまいかえって混乱されるかもしれませんが、
要はしっかりとした考えに立ち自分の責任で治療法を選択されれば、
明らかに間違った選択でなければ良いのではないかということです。
-
何か疑問があったら、またご質問ください。


[29]題名:すごく早い回答ありがとうございました。 投稿者:H.Y 投稿日:2004/03/05(金)
21:25 [RES]

 4日に相談して、5日に回答が得られるなんて思ってもいなかったので、すごくうれしいです。自分で決めた事とはいえ、すごーく不安でした。主治医がとても多忙なので、気持ちを伝える事が難しく、相談させて頂きましたが、顔も知らない私に時間を割いて下さっただけで、とても幸せな気持ちです。今後の事は、また良く考えてみます。主治医とも相談してみます。本当にありがとうございました。今日はよく寝られそうです。ニ瓶先生の健康を願ってます。
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